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店長ブログ

吉田 博人

こんにちはオネストテロワールの吉田 博人です。

平成19年4月より実家の酒屋に戻ってきました。約1年自分が本当に売りたいお酒は何なのか苦悩しながらやっと少しずつ見えてきました。

〜心と体にやさしいお酒で人の和ひろげます〜

この言葉を胸に美味しくて安心で造り手さんの心が伝わる、そして風土が伝わるお酒を紹介していきたいと思います。

吉田 博人 42歳  SSI認定 きき酒師 日本ソムリエ協会認定 ワインアドバイザー 末広酒造認定 燗酒名人

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 《ギリシャのワインについて》        2009.07.07              ――項目“GREECE”より――       株式会社ラシーヌ “The World Atlas of Wine”(第6版:2007) By Hugh Johnson/Jancis Robinson  塚原正章・栗田まりえ 共訳

近年、ギリシャのワイン界は、たいがいのワイン生産国よりも、はるかに活気に満ちている。というのは、時間軸でもって過去をさかのぼることも、未来へと進むことも、ともに大いなる可能性を秘めているからである。ギリシャでは、過去10年間をとれば、他国から来た国際品種(すでに当地で栽培されている)には拠らずに、ギリシャの固有品種でもって新たな名声を築いてきた。現在植わっている固有品種は、圧倒的に白ブドウの割合が高いが、なかには起源をたどれば、われわれにお馴染みの「近代ワイン文化」の発祥の地である、古代ギリシャまで遡るものもある。
このギリシャワインの新時代は、フランスの栽培・醸造学校で正式な学業を卒えた、一握りの農業技術者(アグロノミスト)や醸造技術者(エノロジスト)たちがギリシャに舞い戻った、1985年に始まった。EUと野心的な個人投資家から資金が流入したために、彼ら技術者は、大手ネゴシアン(特にヌタリNoutari社とクルタキスKourtakis社)で最新技術を持ち込んだり、地価が割安な土地で新らたに小規模ワイナリーを創設することが、可能となった。彼らの次世代はといえば、アテネの栽培醸造学校で学ぶ道を選ぶか、もしくはオーストラリアのアデレードかカリフォルニアのデイヴィスにある同種の学校で学んでいるようである。新しい流儀で造られたワインは、かつて横行していた典型的な酸化ワインなどとはまったく異質なものである。こういうワインを積極的に購入しているのは、富を蓄えつつある中流階級層である。
事情通でない者は、とかくギリシャはきわめて高温少雨のゆえに高品質ワインには適していない、と当たりをつけたりしがちである。が、いずこの場合でも、その地の状況に適したブドウ品種を植えることが、ワイン生産の成功の秘訣なのであって、通常ギリシャの標高の高さと豊かな日照は、ブドウ栽培に大きく寄与している。じじつ、ペロポネソス地域内陸部のマンティニア高原で、冷涼な年に造られたワインは、酸が高くて除酸処理を要するし、ギリシャ北部のマケドニア地域のナウサでは、降雨とそれによる腐敗果の被害が深刻化する年もあり、また北向きの畑では、ブドウがまったく熟さないという問題も起こりうるのである。
現在ギリシャには、フランスに倣った産地呼称規制制度があり、ACに準じるOPEが8呼称、VDQSに準じるOPAPが25呼称だけ、認められている。この制度の創設に際して権威筋は、もっとも保護を要すると考えられるタイプのワインをOPEに選んだ。というわけで、8件のOPEはすべて甘口のミュスカ(マブロダフニ/mavrodaphne)である。今日、もっとも甘口のギリシャワインは、偶然にも、伝統的な手法にのっとる干しブドウ産のワインではなく、ヴァン・ドゥー・ナチュレルVins Doux Naturelsである。

北ギリシャは、その秘める高い可能性がまだまだ実現されていない地域の最たるものであって、1960年代にまさしく当地域のシャトー・カラスChateau Carrasでもって、ギリシャワイン革命が華々しく始まったのである。
マケドニアMacedoniaは、地理的にはエーゲ海に散るギリシャの島々よりむしろ、バルカン半島の陸塊につながっている。こちらは赤ワインの生産地で、クシノマヴロXinomavroという品種が多く植えられている。このぶどう品種の名前[“酸っぱい黒(ブドウ)”]は、まさに酸味を体現しているが、クシノマヴロから産する長期熟成タイプのワインは、ギリシャのなかでもっとも印象的なワインに数えられる。ナウサNaoussaは、ギリシャで最重要のアペラシオンであり、かつ最初に認定されたアペラシオンである(1971年)。最上作のナウサ・ワインは、時間とともに極上のバローロもどきの熟成香をまとうことが出来る――北部ワイナリーの多くは、いまだに設備が充実していないにしても。ヴェルミオ山の斜面畑では冬には雪が積もるが、夏には乾燥しきって灌水が不可欠である。土地は広大でかつ多様性に富んでいるため、個々のクリュはその特徴と個性を認めるに値する。
グメニサGoumenissaアペラシオンは、ピアコ山のやや標高が低い斜面上にある。ここでは、いくぶんどっしり加減のナウサ版ワインができる。また、ヴェルミオ山の北西向き斜面にあるアミンダイオAmindaioアペラシオンは、非常に冷涼なために、アロマティックな白ワイン、「クシノマヴロ・ロゼ」という名称ワインと、上質のスパークリング・ワインを産する。濃密で素晴らしい冷涼地型のクシノマヴロ・ワインが出来ることを実証してきたのが、ブタリBoutariワイナリーである。
カバラ周辺では、国際的に普及するヴァン・ド・ペイが増えてきている。たとえば、ビブリア・コラBiblia Choraワイナリーは、非常に風味豊かなブレンドワインを造り、同じ州の北東端にあるドラマでは、ラザリディLazaridiワイナリーが、現代ギリシャが良しとするワイン造りの一典型をなしている。現代的なギリシャワインへの自負の念は、北ギリシャ全土のなかで飛び地のように各地で、それぞれ発展を遂げている。テッサロニキの真南に位置するエパノミ村の、ゲロヴァシリウGerovassiliouワイナリーは実験精神が旺盛で、白ワイン用固有品種のマラグシアMalagousiaとともに、国際品種のプティト・シラーとヴィオニエを栽培している。
ズィツァZitsaは、北西部のイピロス州にある唯一のアペラシオンである。ここでは、白ワインや発泡性のドライワインに使われる、デビナDebinaという品種が最も多く植えられてる。イピロス州のメツォヴォには、ギリシャ全土でもっとも標高が高い海抜1200mの地にブドウ畑があり、1963年にカトッギ・アヴェロフKatogi Averoffワイナリーが植えた、カベルネ・ソーヴィニョンの古木もある。ラプサニRapsaniアペラシオンは、この地区で最上の赤ワインを産する。 

中央ギリシャ地域は、ネゴシアンと協同組合の独壇場である。ギリシャの首都アテネの裏庭ともいえる、アッティカAttika州で造られる伝統的なアテネ・ワインはレチーナrestinaと呼ばれ、樹脂(マツヤニ)で風味付けされて発酵され、長い間ギリシャワインの代表格となっていた。アッティカはギリシャで最大のワイン生産地域で、ブドウの栽培面積は11,000ヘクタール。その畑の殆どが極度に乾燥した不毛地のメソギアにある。アッティカでは、レチーナ風味を付けない良質ワインの生産量が増えてきたが、ブドウ畑の95%は、レチーナワインのベースに用いられ、ギリシャでもっとも普及している品種、サヴァティアノSavatianoで占められている。

ギリシャの島々では、クレタ島Crete/Kritiが群を抜いてワインの生産量が多いが、ベネチア支配期には甘口ワインのマームジーMalmseysで有名だった。そのワインは、あわれにも絶滅した観があったが、この絶滅に瀕したマームジー・ワイン生産に対して最近、待ち望まれていた投資活動と情熱が高まっている。ヘラクリオン/イラクリオ村の郊外に位置する、ブタリ社のファンタクソメテコFantaxometochoワイナリーは、希望の灯火である。クレタ最上のブドウ畑は、やや標高の高い所に位置している。近時におけるクレタ島産ワインの傾向は、ローヌ系ブドウ品種の栽培であって、コチファリKotsifaliなどの地元の固有品種としばしばブレンドされる。
ケファロニアCephalonia/Kefalloniaと、イオニア海側に隣りあうザンテ/ザキントスZante/Zakinthos(活気ある赤ワイン用品種アヴグスティアティAvgoustiatisが植わる)の両島は、クレタ島の次に重要な地域である。とりわけ、フレッシュな白ブドウ用の固有品種である、ロボラRobolaとツァウスィTsaoussiが、国際品種とならんで注目される。なお、イオニア海の北端にある観光名所コルフCorfu島は、ワインツーリスト向けの島ではない。
さて、エーゲ海では、ミュスカ種で甘口ワインを造っている島がいくつかある。なかでも、サモスSamos島は、最上のワインと最高の知名度を誇り、輸出量もいちばん多い。ここには、きわめてクリーンで若わかしいワインや、数点のオーク樽で熟成を経た魅力的なワインなどがあるが、ほぼすべてのワインが果実の小さいミュスカ・ブランから造られている。レムノス/リムノスLemmnos/Limnos島では、ミュスカ種の甘口ワインおよび辛口ワインを産する。パロスParos島では、モネンヴァシアMonemvasia種――少なくともマルヴァジーアの近縁とされている――という
当地固有のブドウ品種を栽培している。島嶼型のタフな黒ブドウであるマンディラリアMandilaria種も植わっているが、これはパロス島/ クレタ島/ロードス島などで栽培されている。 ロードスRhodes/Rodos島では、赤ワインよりも白ワインが重要である。フルボディ型の白ワイン用品種であるアシリAthiri種は、標高の高い土地で栽培された場合にかぎるが、驚くほどエレガントなワインを近年造りだしている。
しかしながら、数多くの島々のなかで、サントリーニSantorini島がもっともオリジナリティ豊かで魅力的である。その力感あふれる濃密な(きわめて)辛口の白ワインは、レモンやミネラルの香りを発するもので、古代の品種アシルティコAssyrtikoから造られる。アシルティコ種は、強風が吹き荒ぶ休火山の高台で、小さな鳥の巣状の丸い形に仕立てられて栽培されている。シガラスSigalas社、ハジダキスHatzidakis社、ガイアGaia社のタラシティスThalassitisは、いずれもサントリーニ島を代表する優れたワイナリーである。なお、この島では、白ブドウからきわめて濃密なヴィンサントも造られている。サントリーニ島の問題点は、ワインづくりに対する情熱や技術が不足していることではなく、観光産業が発展しすぎて地価が上がって、ユニークなブドウ畑の存続を脅かしていることである。

ペロポネソス半島 この新版に加えられた地図は、近年ギリシャのどの地域よりもエネルギッシュで活動的である、ペロポネソス半島の北半分に焦点を当てている。当地域は、美しい海岸沿いの景色、アテネからの交通の便と古代遺跡などの恩恵を受けて、ギリシャのワイン生産地域としてもっとも知名度が高い。
古代遺跡ミケーネの近くにあるネメアNemeaは、もっとも重要なアペラシオンである。ここでは、非常に豊かな赤ワインを、単一品種のアギオルギティコAgiorgitiko(サン・ジョルジュSt Georgeの意味)から造っている。アギオルギティコ種は様々な土壌で栽培されており、コウツィ/アスプロカンボス/ギムノ/ 古代ネメア/プサリなどの地区では、それぞれすでに評価を確立しつつある。ネメアは海の影響に浴して、意外にも、温暖な冬と涼しい夏となる(雨のせいでブドウの収穫が脅かされる地域もある)。この地域は大きく3ゾーンに分けられる――”弦發猟磴し銘の河床部、⊂し高度の上がった中部、I弦發旅發ぅ勝璽鵑任△襦“醉爐弊崘甘敕攵蹐離優瓮渓谷の河床部は、恐らくいちばん面白みに欠けるワインの産地である。△涼羚眦戰勝璽鵑蓮△なり多様な個性が繰り広げられているにしても、近代的でかつリッチでドラマティックなスタイルのワインづくりに最適であると思われる。のもっとも標高が高いゾーン(海抜900mにも達する)にあるブドウ畑の一部は、かつてはロゼワインの生産にのみ適していると思われていたが、現在は上質でエレガントな赤ワインも生産してる。その地域内をさらに細かく区画(サブ・リージョン)を画定するためには、「シンポジウム」を何回も重ねる必要があるのではないか。 ペロポネソス北部のパトラスPatras地域の大部分は白ワインを産出し、この地域最上の品種であるロディティスRoditis種が普及している。再発見された、ミネラル香のある白ワイン用品種であるラゴルシ種は、アントノプロスAntonopoulos社のアドリ・ギス Adoli Ghis (guileless earth;誠実な大地の意)ワイナリーの造るワインのおかげで、ブーム現象が起こっている。また別の生産者、オエノフォロスOenoforosも注目に値する。ここでは、涼しい北向きのアイギアリア高原からの買いブドウで醸造している。両社は、パトラス地域における変化の波を先導しているが、当地は長年、トロッとしたミュスカやマヴロダフニ(より傾注すれば、ともにサモス島産ミュスカに匹敵する可能性を秘めている)のみを造っていた地域なのであった。 地図では南に位置するマンティニアMantinia高原は、モスコフィレロMoschofilero種の原産地である。この、「ブドウ風味をおびた」ワインを産するモスコフィレロ種は、今日では西の方イオニア諸島のケファロニア島とザンテ島でも栽培されている。ツェレポスTseleposなどの生産者は、このデリケートなブドウから、樽熟成させたワインとスパークリング・ワインの両様のワインを造っている。その他の意欲的なギリシャの生産者と同じく、彼らもまたさまざまな国際品種を植えてもいる。 【了】



<現代のギリシャワインについて) By Jancis Robinson“The Oxford Companion to Wine”(第3版)

螢薀掘璽漫…邑供Ψ田・横川 試訳 2009年7月


数百年にわたるオスマントルコのギリシャ支配は、ギリシャのブドウ栽培とワイン造りを20世紀に入るまで衰退させ続けた。キリスト教信者のワイン造りは、通常は禁じられていなかったが、支配者と被支配者の間のコミュニケーションがうまくいかなかったために、トルコの支配者は地元の小作農業を単に税収を増やすのにもってこいの手段としか看做されなかった。したがって、例えば、フランスではファイン・ワインの生産地とその消費市場が発展していたのに対し、ギリシャは、ワインの「暗黒時代」とでも呼ぶべき状況に取り残されていた。
独立のための戦争は、延々と続いてこじれにこじれ、やっとのこと1913年に創設された近代ギリシャ国家は疲弊にあえいでいたため、国家は他のもろもろの問題に関心を奪われ、上質なワイン産業の創設どころではなかった。二つの世界大戦とその後の激しい内戦からかなりたってから、ギリシャは、ワイン産業の近代化にのりだした。当時、各地に散らばっていたギリシャのワイン産業は、国内の市場にしか通じない、往々にして下手な造りをした安ワインを供給しているとみなされていた
ワイン醸造技術を実験開発し、ワイン生産者へ助言をおこなう《アテネ・ブドウ研究所》は、1937年に創設された。すでに19世紀後半に、大手の近代的なワイン製造企業が設立されてはいたものの、当時の彼らは主として蒸留にしか関心を寄せず、バルクワインの販売はいってみればおまけのような格好であった。ビン詰めしたギリシャワインの割合が、樽から小分けする販売方式の割合を上回るようになったのは、ようやく1960年代になってからのことである、
しかし、1960年代に入ってから、近代技術への設備投資が著しく、専門教育を受けたギリシャ人ワイン醸造技術者(エノロジスト)の第一世代の増加も手伝って、1980年代初期から今日に至るまで、その結果には目覚しいものがある。なお、いうまでもなく、“oenology”(エノロジー:ワイン醸造学)という用語はギリシャ語に由来するものである。
現在、なお、アカイア・クラウスAchaia Clauss社/ブタリBoutari社/クルタキスKourtakis社/ツァンタリスTsantalis社といった、商業的な意味における「大企業」が、ギリシャワイン市場を支配しており、その意味では厳しい環境にあるのだが、エノロジストたちの高い熱意は、小規模な高品質志向型のワイナリーを多数生み出してきている。大半の現代ギリシャワインは、良質ワインを嗜む人口ががかなり増えてきているギリシャ国内市場において、すでに販路を見出している。しかしながら、アンドノプロスAntonopoulos社/ドメーヌ・カラスDomaine Carras社/クティマ・ゲロヴァンリウKtima Gerovassiliou社/ガイアGaia社/オエノフォロスOenoforos社/サモスSamos協同組合などが生産する優良ワインは、海外市場に輸出されている。

地理と気候
ギリシャ全土の至るところに、ブドウ畑は広がっている。ブドウ畑のある北緯34度から42度の間は、世界でも有数の暑いワイン清算地域に属するが、熟慮の挙句に、かなり標高の高い場所を選んでブドウが栽培されているところもある。
通常、気候はご存知のように地中海性気候であって、短い冬と非常に暑い夏が特徴だが、特に夏の干ばつは、年によっては特に南方では深刻な脅威となりうる。気候は各地でかなり変化に富んでいる。ペロポネソスのマンティニア高原や、エピロスやマケドニアといった、山間部で大陸性気候の影響を受けた、冷涼なブドウ畑では、ブドウはときに完熟を期しがたい。逆に、パトラスとクレタ島/ロードス島などの猛暑を受けるブドウ畑では、7月に収穫期を迎えることもある。
大半のブドウ畑は、海の近くに立地するため、海のそよ風を浴びて温度が和らげられるが、水不足が、わけても島嶼とギリシャ南部では、悩みのタネである。秋にはいくらか雨が降り、年初めの3ヶ月間はたいてい雨もよいであるが、その後の半年間は、ワイン産地では一滴の雨も降らない地域が多く、ために若いブドウの樹を育てるのが極めて難しい。灌水は一般的には認められないが、新しく切り開かれたブドウ畑では使われているだろう。
ギリシャは、極端なくらい山岳地帯が多い。ブドウはいろいろな所で栽培されている――たとえば、アンキアロスのような海抜ゼロにちかい平地、オリンパス山の斜面底部にあるラプサニのような山のふもとや、標高800mの斜面頂部にあるネメアのような高所という具合に。非常に暑い地域では、ゆっくり熟成させるために、ブドウはしばしば北面の斜面に植えられる。
ギリシャには多くの土壌タイプがあるが、土壌は概してあまり肥沃ではない。ギリシャ本土の下層土は石灰岩が多いが、島嶼部では主として火山性土壌である。そのほか、粘土・ローム(砂と粘土が混ざった柔らかい土)・片岩・泥灰土、あるいは砂質の粘土や白亜なども、よく見うけられる。

ブドウ栽培
現行のギリシャの土地保有システムでは、ブドウ畑の多くが小自作農の所有に帰している。小自作農からその大半のブドウを買いうける大企業が、緩慢ながらより密接に、これらのブドウ栽培家とともに仕事を進めることによって、近代的なブドウ栽培技術を広めている。長らくブドウの価格は糖度で決まる仕組みだったため、えてして酸度が危険なほど低下しがちであった。が、これらの問題は大型商社や近代的な協同組合によって大幅に改善されてきた。なかでも意欲的な小規模ワイナリーは、近代的農法を取り入れて実践しようとしている。
伝統的には、たいがいのブドウ樹はゴブレ式に仕立てられていたが、ほぼ全ての新しいブドウ畑では、サントリーニ島などのような烈風地域を除けば、ワイアーを使った垣根仕立て(トレリス式)を採用しており、コルドン式がギュイヨ式よりも普及している。
ブドウ栽培に関する知識は、ワイン造りの実践の後塵を拝する始末であって、アテネにある小さな「ブドウ研究所」では、ある時期、しばしば食用ブドウや乾燥ブドウの好適品種の研究に精を出していた。ブドウのウイルス感染症にしょっちゅう悩まされるブドウ畑もあるので、ワイン産業は、台木の改良(とくに暑熱地域における)を研究から裨益することがあるのではないか。もっとも普及している台木は、110Rか41Bである。


ブドウ品種
ギリシャには、300種類を上まわる古代から伝わる固有品種があるのに、まだ十分にその利用が進んでいない。それらの多くは、ブドウ需要の主流をなす食用かドライフルーツ産業にもっぱら供されており、他の多くの固有品種は細々とした地元限定型の消費どまりである。個々の固有品種については、身元を同定するために多大な労力を費やさなければならない。品種の同定作業とは、単に古代の品種を再発見するだけにとどまらず、ギリシャの品種と、他地域(イタリア・キプロス・トルコ・アルバニア・モンテネグロ・コソヴォ・クロアチアと、わけてもマケドニア)で栽培されている品種との繋がりを、発見することまでが含まれている。
明らかに、このギリシャ固有のワイン用ブドウ品種が、ワインにユニークな個性と風味をもたらすことができる。たとえば、デビナDebina種は、北西部エピルスの特産品種であり、クシノマヴロXinomavro種は、北東部マケドニアの特産品種として生き延びているとはいえ、ギリシャのブドウ栽培家は、彼らの故地から遠く離れた地域の品種にブレンド用の価値を見出し、栽培の試みに弾みがついている。
ギリシャの白ブドウでもっとも重要な品種は、アシルティコAssyrtiko種、ロディティスRhoditis種、ロボラRobola種、サヴァティアーノSavatiano種、モスコフィレロMoscophilero種、ヴィラナVilana種、デビナDebina種と、ミュスカ2種(ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランMuscat Blanc a Petits Grains種と、やや重要さが劣るマスカット・アレクサンドリアMuscat Alexandria種)である。なお、ギリシャの港都モネンヴァシアは、マルヴァジーアMalvasia種の語源である。ギリシャの黒ブドウ品種のなかで、現代ギリシャワイン産業において最重要なものは、アギオルギティコAghiorghitiko種、リムニオLimnio種、マンディラリアMandelaria種、クシノマヴロXinomavro種である。さらに詳しく固有品種を知りたい方は、以下の地域別の詳細記事を参照されたい。
これらの固有品種に加えて、多くの国際品種がとりわけフランスから輸入されており、後者は総栽培量の15%程度になると見積もられている。国際品種の内訳は、白ブドウでは、シャルドネ/ソーヴィニョン・ブラン/ユニ・ブランなど)、黒ブドウでは、カベルネ・ソーヴィニョン/カベルネ・フラン、および少量のメルロー/グルナッシュ/サンソー/シラーなどである。これらの国際品種だけで造られたギリシャワインもなくはなかろうが、外来品種を副次的にギリシャ品種にブレンドしたワインの方がはるかに多い。実際、ギリシャワインは国際品種を使うべきではないと主張する強力なロビイストもギリシャ国内におり、もし主要品種としてギリシャ系を使わなければ、新らたにアペラシオンの資格を取得することは難しくなりそうな気配である。

ワイン醸造
1980年代の半ば以来、ギリシャのほとんどのワイナリーは、なんらかの冷却装置と、ステンレス製タンクを起用した衛生設備を、保有するようになった。1990年代中ごろには、このような新式設備を持たないのは、最古の協同組合ぐらいだけになってしまった。新種の気性にとむ小規模ワイナリーは近年、圧搾作業に先立つブドウの冷却装置を導入している。
他の地中海地域と同じく、早期収穫と、温度調節機能が可能にならしめた冷却発酵とが、クリーンが無個性な、アルコール度11.5%程度の白ワインをもたらした。1990年代初期には、一部のより大胆な醸造家たちは、さらに興味深いワインをつくりだそうとして、スキンコンタクト、わずかな遅摘み、発酵に先立つ計画的な果汁の酸化、といった技術を採用した。
ギリシャでは良質な赤ワインは、伝統的に大きな古樽で熟成されてきたが、フランスから輸入しバリックが、赤ワイン(と白ワインですら)の樽熟成用に使われるケースが増えつつある。

ワイン法
ギリシャのワイン法は1970年代初期に起草され、1980年代初期にEU加盟を見すえて修整された。したがって、当然ながらワイン法は、厳密にEUのガイドラインに沿った内容であって、しばしばラベル表記に、AOCとかヴァン・ド・ペイ(フランスでと同じく、AOCワインよりもさらに幅広いブドウ品種の使用が認められている)というフランスの用語を使うほどであった。
EU法に則る高品質ワイン(「クオリティ・ワイン」)は、マヴロダフネMavrodaphne種もしくはミュスカMuscat種から造った甘口ワインだけであって、これは産地統制呼称(AOC、ギリシャ語でOPE)とされ、コルクの上に青いシールが貼られる。また、辛口ワインは、「上質呼称」
(Appellation of Superior Quality;ギリシャ語でOPAP)と表記され、ピンクのシールが貼られる。レゼルヴ(Reserve)やグランド・レゼルヴ(Grande Reserve)は、さらに熟成年数を重ねた上級のワインを表している。
ヴァン・ド・ペイは2005年には80ヶ所が認められている。これは、指定地域で幅広い品種から構成されるが、ほとんど常にギリシャと外来品種の双方の品種が許されている。ヴァン・ド・ペイの商業的にみた最重要地域は、アッティカAttica、ドラマDrama、エパノミEpanomi、スィバイThivai(もしくはテーベThebes)である。
テーブルワインという大分類には、ギリシャでもっとも成功しているブランド・ワインとともに、産地呼称規制外で造られる(ブランドものを上まわる)興味深いワインも、含まれている。ギリシャ人もまた、わずかな生産量と長期熟成を要件とする「上級テーブルワイン」に、スペインと同じcavaカヴァという用語を使っている。
ギリシャワインの公式なアペラシオン・リストは、1950年代に作成されたが、カルキディキ半島(「古代の歴史」参照)にあるコート・ド・メリトンCotes de Melitonのような、最近のワイン呼称は、後にリストに追加された。ギリシャ各地に散在する28の呼称地域には、生産量が僅少のところもある。消滅の危機に瀕しているアペラシオンもあり、たとえばカンツァではもはや生産が絶えてしまった。多くのアペラシオン・ワインは、当該産地以外ではめったにお目にかかれないが、いくつかはよく知られて人気のあるアペラシオンもある。

《ワインの地域》
ワインはギリシャ全土で生産されているが、その多くは、とても小さな伝統的な規模で造られている。以下、高品質なワインの生産地域について触れるが、これらはギリシャの内外でも認識や評価が確立した地域でもある。地図を参照されたい。

ギリシャ北部
マケドニアとトラキアの地域は、主として赤ワインで有名であるが、今日ではワインのすべてのタイプのワインが生産されている。ナウサは、クシノマヴロXinomavro種による赤ワインの発祥地であり、ヴェルミオ山の南東向き斜面に位置し、標高は200−350メートル。ナウサでは雨不足の懸念はなく、冬期はよく冷え込んでブドウはよく休眠できる。ナウサ・ワインは、最低1年間はオーク(伝統的には古い木製の樽)で熟成させなければならないが、小さな新樽(バリック)での熟成が、大々的に試みられている。より優れた斜面を画定して「グラン・クリュ」の位置づけを与えるシステムから、ナウサに2つのカテゴリーが生まれた。軽い砂質の土壌から産する若いワインと、粘土および石灰岩の土壌から産する熟成型のワインである。
また、クシノマヴロXinomavro種は、さまざまなタイプのワインにも用いられる。同じナウサ地区では、ネゴスカNegoska種とブレンドしたグーメニサGoumenissaというワインができるし、ナウサと逆の地域(ヴェルミオ山の北西斜面、標高650メートル)にあるアミンデオAmyndeoでも、同名のワインができる。なお、アミンデオでは赤ワインだけでなく、スパークリング・ロゼも造られている。
ギリシャ北部でもっとも著名なアペラシオンは、コート・ド・メリトンCotes de Melitonであろう。この最近できたアペラシオンは、シソニアにあるメリトン山の斜面にあるが、ドメーヌ・カラスによって特別に作られたアペラシオンである。ちなみにドメーヌ・カラスは、良く知られたボルドー大学のエミール・ペイノー教授の協力を得て発展したことで知られる。ここでは、白ワイン・赤ワインともに、ギリシャとフランスの品種(とりわけカベルネ・ソーヴィニョン)を混ぜてつくられる。しかしながら、ドメーヌがブドウ畑を拡大する際に新たに植えられるブドウの多くは、最近再発見された上品な白ブドウ固有品種のマラグシアMalagousia種を含めた、ギリシャ品種であることは意義深い。
トラキアもまたドラマ周辺にある地域であり、良質なヴァン・ド・ペイがギリシャとフランスの品種の混醸で造られている。

ギリシャ中部
イオアニア海からほど遠からぬ、アルバニアとの国境ちかくにジツァZitsaがあり、辛口白ワインもしくは軽めの発泡性白ワインを、固有品種のデビナDebinaら造っている。すぐ南西、イオアニア海周辺の山々には、ギリシャでもっとも標高が高いブドウ畑がメツォボMetsovoにあり(標高900メートル)、地元で育てたカベルネ・ソーヴィニョンに、ネメアで育てたアギオルギティコAghiorghitiko種をブレンドして造った、カトイKatoiという有名なヴァン・ド・ペイを生みだしている。
東海岸のテッサリアにあるラプサニRapsaniは、オリンパス山の小丘で、クシノマヴロXinomavro種(ここが最南の栽培地点)に、クラサートKrassato種とスタヴロートStavroto種をブレンドし、樽熟成させたワインを造っている。このアペラシオンは長らく待ち望まれた復興のさなかにあるが、古いヴィンテージのワインは、長命で凝縮された赤ワインの可能性をうかがわせるものがある。テッサリアの他のアペラシオンにはアンキアロスAnkhialosがあり、ロディティスRhoditis種と、海面レベルのヴォロスの近くで栽培されたサヴァティアーノSavatiano種を少量ブレンドした、辛口白ワインが造られている。

ペロポネソス
この劇的に形成された巨大な南部の半島は、ギリシャワインのアペラシオンをもっとも多く有する地域であるが、興味深いヴァン・ド・ペイやテーブルワインもいくつかある。アルカディアのマンティニア高原(標高約600メートル)では、モスコフィレロMoscophilero種の白ワインを産する。これは、フレッシュで辛口かつアロマティックでわずかにスパイシィである。けれども、同じ品種を長期間マセラシオンさせると、シンプルだがフルーティなロゼワインが生まれる。
ペロポネソスをギリシャ本島から分かつコリントス運河からほど遠からぬネメアNemeaでは、アギオルギティコAghiorghitiko種が泥灰土と深い赤土土壌で栽培されている。アギオルギティコの収量を抑えれば、強烈な果実味のある赤ワインを、250メートルから800メートルの標高が異なる3区域で造ることができる。もっとも低いブドウ畑のブドウは、しばしば酸味に欠けて甘口ワインに用いられるが、最良の辛口ワインは、海抜450−700メートルにあるブドウ畑から生まれるとされる。ナウサのように当地でもバリックが熟成に使われており、セミ・マセラシオン・カルボニック法がネメアの新酒の一種をつくるのに使われている。1990年代後期からネメアでは、ハイテク技術を有するワイナリーにおいて、他のギリシャの地域にまさって投資旋風がまき起こった。一流のブドウ畑では、高い密植度で畑を植えかえている。
北海岸のパトラス周辺のブドウ畑では、4つのアペラシオンを管理している。パトラス自体は、街周辺の斜面で栽培されるロディティスRhoditis種による、辛口白ワインができる。パトラスのミュスカは、ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランMuscat Blanc a Petits Grains種から、強くて甘いヴァン・ドゥー・ナチュレルもどきの、デザートワインをつくる。パトラス地方のリオンでは、ブドウ畑地域が建物の浸食によってほぼ消滅してしまった。パトラスのマヴロダフネMavrodaphne種は、とてもポピュラーなアペラシオンである。が、そこではマヴロダフネを主体とするブレンドワインも造られていて、地元で多くは干しブドウに供されるコリンティアキKorinthiaki(コリントCorinth、カラントCurrant)種を補ってブレンドしている。発酵は、(ポルトと同様)、アルコールが4%に達したら止められ、ワインはトーニー・ポートのように木樽で熟成される。10−12年樽で熟成させたものは、美味になる可能性がある。

島嶼部
西海岸のイオニア諸島のなかでは、ケファロニア島が、特に白ブドウのロボラRobola種から作られる力強い辛口ワインでよく知られる。ここのブドウの樹は、標高の高い石だらけの土地で一本ずつ栽培されていて、ほとんど接ぎ木をしない(しかし1980年代後期にフィロキセラが到来し、これがおそらくこの栽培方法の終わりを告げる合図かもしれない)。マヴロダフネMavrodaphne種からは、辛口のヴァリエタル・ワインで、アルコール添加しない赤のテーブルワインもまた造られる。マヴロダフネMavrodaphne種とミュスカMuscat種のデザートワインは、パトラスのものと同じ方式でもって、この島で生産される。
キクラデス諸島のなかでは、パロス、サントリーニ、そして最近はティノスで、ワインが造られている。パロスは、パワフルでかなりタニックな赤ワインを生みだしている。その製法は、深い色合いのマンデラリアMandelaria種に、モネムヴァシアMonemvasia(マルヴァジーア)種なる白ブドウをその半量加えて、軽い色調にもっていくいう、興味深いブドウのブレンドによる。降雨量は少ないが、海に近いロケーションが湿気を高めるよう促している。ブドウの樹は、強風から守るために低木で栽培されている。強風はまた、サントリーニ島の特色でもある。この火山性の島においても降雨は非常に少ないが、カルシウムの下層土が多孔性で、一晩中湿気を保つのに役立っている。サントリーニのアペラシオンでは、アシルティコ種に、少量のアシリAthiri種とアエダニAedani種をブレンドした、ミネラル香のある優良な辛口白ワインを産する。干しブドウを使った甘口のヴィサントVisantoも、また造られている。
ロードス島は、古代から重要なワイン生産地域である。今日3つのアペラシオンがあり、一つは収量をとても抑えたブドウから造る甘口のミュスカ、一つはアシリAthiri種による辛口白ワイン、もう一つは、地元でアモルギアノAmorgiano種として知られているマンデラリアMandelaria種から造る赤ワインである。ロードス島では、アペラシオン・ワインとして認められる地域は、標高が高い、北または北東の斜面だけである。ロードス島の協同組合であるカイルCAIRはまた、(品質が熟成向上する)スパークリングワインを、きわめて大量に生産している。
ギリシャのもっとも有名な2つのワインは、エーゲ海の島々でつくられている。レムノスは、リムニオLimnio種の原産地であって、今でもその品種を栽培してはいるが、アペラシオン・ワインは2種のミュスカによる。ミュスカの辛口版はこの島以外ではめったに見られず、ヴァン・ド・リケール(VDL)である甘口のマスカット・レムノスMuscat of Lemnosは、広く賞賛されており、驚くほど繊細優美である。
サモス島のミュスカは、ギリシャで(レツィーナに次いで)もっとも有名なワインである。ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランMusca Blanc a Petits Grains種は、海抜800メートルで栽培されており、しばしば高台や急勾配の斜面に植えられ、ブドウ畑の高度によっては、収穫が二ヶ月間にもわたる。サモスのミュスカには、いくつかのタイプがある。サモス・ドゥーSamos DouxはミステルMistelaタイプのVDLで、ブドウを圧搾したほぼ直後にアルコールを添加する、一方サモスSamosVDN(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)は、発酵を途中で中止させてつくられる。しかしながら、潜在的にもっとも良質なのは、サモス・ネクターSamos Nectarである。酒精強化せずにアルコール度14%まで発酵させるため、太陽の下で干したブドウで造ったワインで、その後三年間樽に寝かされる。フランスは同島の唯一の大きな市場であり、島の毎年のワイン生産量の半分以上を輸入している。
最後に、商業的にも重要なアペラシオンはクレタ島であり、島固有の複数のユニークな品種と、マンデラリアMandelaria種でもって造られている。薄い赤色のリアティコLiatiko種は、高いアルコールレベルに達し、時には早くて8月に熟すほど、とても早熟である。一方パワフルで深い色合いのマンデラリアMandelaria種は、特に荒々しい赤ワインを生み出す。もっとも重要な地元の白ブドウはヴィラナVilana種である。辛口、時には甘口のワインを造る地元の赤ワインのアペラシオンは、アルカネス、ダフネ、シテアイアである。他方、もっとも島でよく知られているアペラシオンであるペザPezaは、辛口の赤ワインと白ワインを造る。島の北部に広がり、山脈によって北アフリカの熱風から守られていたブドウ畑は、1970年代後半に島でフィロキセラが発見された後、現在植えかえられている最中である。
古典時代後期に由来する、樹脂の香りをつけたワインからの直系子孫とも言うべき、香り高いギリシャの特産ワインのレツィーナについては、別項目を参照されたい。 【了】